他大学から大学院への進学を希望する方へ

このページでは,現在は他大学に在学していて,次の進学先として根岸研究室(電力・エネルギーシステム研究室)への配属・研究指導を希望している方に向けた説明を行います。本研究室では電力・エネルギーシステム分野の研究に携わりたい方の,博士前期課程・博士後期課程への進学を大歓迎しています。
大学院の所属先を探すにあたって,指導教員をお願いする先生の人となりは少なからず大切なポイントです。私(根岸)の人となりについては「神大の先生」に掲載されている記事を読んでいただけると,その一端がわかるかと思います。

[Information] For international students who are not currently affiliated with Kanagawa University and wish to join this laboratory, please read the following page using machine translation and refer to the page (International Student Recruitment) before making an inquiry.

研究対象について

本研究室では,いわゆる強電分野である電力システムを対象として研究活動を行っています。電力システムの研究というと,「エネルギー工学」や「電力工学」といった講義で扱う発電機や送配電網といった電気工学の研究をイメージするかもしれません。

そのイメージは部分的に正解ですが,実際は異なります。スマートグリッドやデジタルトランスフォーメーションといった言葉に代表されるように,電力システムを含めた社会インフラは,データサイエンスをはじめとした数理科学との融合を経て新しい姿に生まれ変わりつつあります。そのような時流もあり本研究室では,電力システムと数理科学の知見を活かした新しい電力システムの運用方法の創出を目指しています。

すなわち,本研究室は“電気×情報系”という境界領域の研究室です。本研究室の研究ビジョンについては研究内容のページを確認してください。

「お知らせ」ページからこれまでの修士論文・卒業論文の研究テーマを確認してもらうと,みなさんがなんとなく想像するような”強電系”の研究にとどまらないことが分かるかと思います。

これらのテーマに関心があり,私たちとの共同研究を希望する学生のみなさんは,ぜひ本研究室を志望してください。本研究室では,新しい時代を切り開く志のある学生を歓迎します。

大学院の学生として,本研究室に所属した際のスケジュールを紹介します。

<M1~M2>
・4月:卒業研究に着手,専門ゼミの開始
・4月:研究室懇親会
・7月:研究進捗報告会,打ち上げ
・10月:夏休みの活動報告会,研究進捗報告会
・適宜,国内学会発表,国際会議発表
・M2の8月ごろ:修士論文中間発表
・M2の2月ごろ:修士論文審査
<D1~D3>
・国内学会発表,国際会議発表
・博士課程学生向けの研究助成応募
・博士論文審査

大学院での日々の研究活動

本研究室では,基本的に毎日研究室に通ってもらいながら研究活動を進めていくスタイルをとっています。

自分の研究テーマの遂行

日々の研究活動は,教員と相談したあるいは自分で立てた研究の目標・スケジュールに応じて進めます。大学院での研究は,教員も十分なサポートを行いますが,最終的には自律的に自主性をもって取り組まなければ目標を達成することができません。そのため,最低限の基準として週20時間以上の研究活動の実施をお願いしています。

根岸研究室はコアタイムを導入しています。コアタイムとは,研究室に来て集中して研究活動を行う時間です。就活や授業などの事情は踏まえて個々に調整は可能です。

コアタイム:月曜~金曜11時~15時

一見厳しいように感じるかもしれません。しかし,どの研究室に所属しても,十分な時間をかけないと修了できるレベルの結果を出すことは到底できません。また,本研究室では年間450時間以上の取り組みを求めていますが,コアタイム相当の時間を取り組めば容易に超えられるハードルです。また,アルバイトについては禁止ではありませんが,コアタイムを中心として打ち合わせやゼミなどの日程調整を行いますので,基本的に日中は時間を空けておくようにしてください。

本研究室では,就職してからすぐに活躍できるスキル(プレゼンテーション・進捗管理・プログラミング・報告など)をしっかりと身に着けてもらうため,以上のようなコアタイムを設けています。その点を理解してください。

ミーティング

週に1回,研究グループ内で集まって実施するグループミーティングを行います。グループミーティングでは,みなさんの研究活動の報告や研究の方向性に関する相談を行います。

また月に1回程度,研究室の全員が参加する全体ミーティングを行います。全体ミーティングでは,自分の研究内容に関する発表や研究活動・専門知識に関するレクチャーを行います。

これらのミーティングを経ることで,自分の研究テーマに対する理解を深め,相手に伝わるプレゼンテーション能力の獲得につなげることができます。ミーティングの価値はみなさんの貢献によって変化します。根岸研究室では,研究室内活動に対するみなさんの積極的な貢献を期待しています。

専門ゼミ

週に1回,研究活動で用いる専門的な技術について専門ゼミを行います。電力システムに関する最新ニュースを発表したり,数理最適化に関する専門書を輪講して研究に必要な専門的な知識を身に着けます。

これらの専門ゼミを経ることで,自分の研究テーマを進めるための専門知識を身に着けることができます。また勉強する内容は,社会でのニーズが高い分野ですので,これらの知識があることは就職活動でも有利に働くでしょう。

学会発表

みなさんが実施した研究の成果を社会に還元するため,学会発表を行います。学会発表では,近い分野(たまに異分野)の大学・研究所の研究者や産業界の人に向けて,自身の研究成果についてわかりやすくプレゼンテーションを行います。

学会発表の形式は主に2種類あります。スライドを使った数分~数十分の口頭発表と,研究成果を記載したA0のポスターの前で通りすがりの人にプレゼンテーションをするポスター発表です。この学会発表の機会に思わぬ縁があり,他大学の先生や学生・企業の方々など新しい人とのつながりを獲得することもあります。この学会発表がきっかけとなって,様々な企業への就職につながることもあります。

日本全国あるいは海外。見知らぬ土地に行き,人や街との触れ合いを通じて自らの見識を広げるよい機会です。有効に活用してください。

その他の様々な成長機会

本研究室では,先述した学会発表以外にも様々な成長・経験を得ることのできる機会を提供しています。

例えば,他大学の研究室との共同研究や,パワーアカデミーが主催している産学交流会学生交流会(GPAN)への参加,研究室での設備見学会,企業の方を招いた電力・エネルギー分野の仕事紹介などがあります。機会があればぜひ参加・チャレンジしてみてください。

研究のアプローチ

本研究室ではコンピュータ・シミュレーションをベースとした解析が主なアプローチとなります。そのため,Pythonをはじめとしたプログラミング言語を用いたコーディングを行って研究活動を進める必要があります。とはいえ,変数の定義や配列,if文やfor文といったプログラミングの初歩的な知識があれば対応できるので,例年プログラミングに苦手意識がある人でも研究を行うことができています。

本研究室では以下のような専門知識を主に扱います。みなさんが講義で勉強した内容に加えて,最新の電気工学・情報科学に関する知識を必要に応じて勉強する必要があります。

  • 電力システム工学(電力系統の潮流計算・発電機の経済負荷配分・発電機制御)
  • 数理最適化(線形計画法・整数計画法・確率計画法・メタヒューリスティクス)
  • 機械学習(回帰モデル・判別分析・強化学習)
  • 制御工学(フィードバック制御・PID制御)

研究環境

研究室には1人1台の机・デスクトップPCが割り当てられており,集中して研究に取り組める環境を整えています。また,大学院生にはひとり1台のiPad miniを支給しています。

大規模な最適化問題や機械学習といった計算負荷の高い科学技術計算を行う際には,研究室で所有している高性能なLinuxサーバにアクセスし,サーバ上で計算を行うことができます。

さらに,研究に必要な最先端の科学技術計算ソフトウェアのライセンスを多数所有しています。最新の状況は研究環境のページを確認してください。

これらの設備に加えて,学生の皆さんが研究活動に必要だと思うものは随時導入し,環境改善に努めています。

学生居室(23号館612)
研究用ラックサーバ

所属学生の就職先について

これまでに本研究室に所属した学生が就職した企業名は,メンバーページにまとめています。

就職先として選ばれている業界としては,電力会社や重電系のメーカー,サブコンが主になっています。企業の方から本研究室を対象とした説明会や見学会を実施していただくことで,学生と企業のマッチングを図り,自分に合った業界・企業選択ができるように支援しています。

大学院入試について

現在,大学院では博士前期課程(修士)のみ,主たる指導教員として学生の募集を行っております。事前に相談が必要となりますので,お早めに根岸(negishi [at] kanagawa-u.ac.jp)までご一報ください。神奈川大学の博士前期課程を対象とした大学院入試では,学部での成績に応じて筆記試験が免除になることがあります。通常の願書提出後に筆記試験の免除の有無が通知されます。

また,指導教員として募集はしていませんが,博士後期課程(博士)での進学を希望される方であっても本研究室に所属する方法はありますので,事前にご相談ください。

その他,大学院入試に関する詳しい情報は神奈川大学の大学院入試ページをご確認ください。

【追記】本学では毎年8月と2月に翌年度4月入学の入試を行っています。そのため,随時進学に関する相談を受け付けますので気軽に連絡してください。

神奈川大学は私立大学であるため,国公立大学と比較して学費が高額です。国公立大学は年間約53万なのに対し,本学では年間約100万~130万の学費の支払いが必要となります。高額な学費の支払いが必要な分,国公立大学よりも研究室へ配分される研究費が非常に多くなっており,分野を問わずどの研究室でも充実した研究活動や関連する経験を積むことができる側面はあります。とはいえ,高額な学費の支払いが大きな経済的な負担であることは間違いありません。

本学には,そんな経済的負担を軽減することができる大学院生向けの給付型奨学金制度が数多く用意されています。本研究室に所属した大学院生の多くは,毎年学内の給付型奨学金をいくつか併用することで実質的な学費負担を大きく減らしています。

  • 大学院給費生:将来大学の教員になることを強く希望する学生に対して,学費相当額の援助を在学中受けることができます。「給費生制度」は本学の学部にも設置されている,学費負担がゼロになる独自の制度です。
  • 修学支援奨学金:経済的な理由で就学が困難な学生に対して,給付型の支援を受けることができます。工学研究科の場合,36万円の支援が受けられます。

このほかにも本学には様々な給付型奨学金制度が設けられています。これらの制度をうまく活用することで,場合によっては国公立大学よりも経済的な負担感なく大学院進学が可能になります。

詳しくは,本学の奨学金・学費(大学院生)のページをご確認ください。


以上を踏まえて,もし本研究室に加わりたい方は,ぜひ根岸までご連絡ください。

(2025/02/19,2025/05/07更新 文責:根岸)